庭の池の埋立からわかる、受け継がれる想いと、新しい庭のかたち

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ご相談の背景にあった、ひとつの「庭」

「実は、この池なんですけど……」

M様が少し言葉を選びながら指差した先には、立派な日本庭園の中に設えられた、大きな池がありました。
重厚感のある自然石で組まれ、水面には空や木々が映り込み、どこか時間がゆっくり流れているような佇まいです。

一目見て分かるほど、手間も費用もかけて造られた池でした。

亡きお父様の「老後の夢」

この池を造られたのは、M様のお父様。
退職金を使い、老後の楽しみとして日本庭園と池を造られたそうです。

「退職したら、毎日ここで鯉に餌をあげるのが夢だったみたいです」

池にはイロトリドリの鯉が泳ぎ、庭全体はまさに「鑑賞するための庭」。
当時のお父様にとって、この庭は人生の集大成のような存在だったのかもしれません。

しかし、その願いを叶える時間は、長くは続かなかったとM様は静かに話してくださいました。

時が経ち、立場が変わって見えたもの

それから年月が流れ、M様自身も、かつてのお父様と同じ年齢に。

「今になって、父の気持ちが少し分かる気がするんです」

風情のある池。
眺めているだけで心が落ち着く、日本庭園の美しさ。
その価値は、M様も十分に理解されていました。

ただ一方で、現実的な問題もありました。

池のある暮らしの「現実」

池の管理は、想像以上に大変です。

・水質管理
・落ち葉や汚れの清掃
・設備の点検
・転倒や事故への不安

「正直、維持するだけで精一杯で……」

年齢を重ねるにつれ、日々のメンテナンスが負担になってきたそうです。
さらに、「庭をもっと有効に使いたい」という想いも芽生えていました。

苦渋の決断「池を埋める」という選択

「父が大切にしていた池なので、正直かなり悩みました」

M様にとって、池を埋め立てるという選択は、
単なるリフォームではなく、心の整理でもありました。

それでも、
これからの自分の暮らしを考えたとき、庭をもっと身近な存在にしたい
という想いが、最終的な決断につながったのです。

ご提案したのは、芝生の庭への再生

私たちがご提案したのは、池を埋め立て、芝生の庭へと生まれ変わらせるプラン。

・安全で管理しやすい
・庭全体が広く使える
・日常的に楽しめる空間

「庭は、眺めるだけじゃなく、使ってこそ価値があると思うんです」

M様の言葉から、これからの暮らしを前向きに楽しもうとする姿勢が感じられました。

施工開始 〜池との別れ〜

施工当日。
まずは池の水を抜き、内部の構造を確認します。

大きな石で丁寧に組まれた池は、やはり立派なものでした。
作業を進めながら、M様は何度も池に目を向けていらっしゃいました。

「父も、きっと納得してくれると思います」

そう言われた一言が、とても印象的でした。

池の水を抜き終えた直後
池の水を抜いて真砂土を入れる
真砂土の上に芝生を敷く

■ 新しい庭が完成した日

池を埋め立て、地盤を整え、芝生を張っていく。
徐々に庭の印象が変わっていきます。

完成した庭は、以前とはまったく違う表情を見せていました。
視界が開け、明るく、どこか軽やかな雰囲気。

「こんなに広かったんですね、この庭」

M様は、少し驚いたように笑顔を見せてくださいました。

芝生の庭で始まる、新しい楽しみ

施工後、M様が一番嬉しそうに話してくださったのが、
「ここでパターの練習ができるんですよ」という一言。

芝生の上に立ち、ゴルフのパターを手にする姿は、
この庭が「生きた空間」になったことを象徴しているようでした。

想いを手放し、想いを受け継ぐ

池はなくなりました。
しかし、お父様がこの庭に込めた想いが消えたわけではありません。

家族を想い、老後を楽しもうとした気持ち。
それは形を変え、今もこの庭の中に息づいています。

リフォームは、過去と未来をつなぐもの

今回の池埋立工事は、
単なる「撤去」や「整地」ではありませんでした。

大切な想いと向き合い、
これからの暮らしに合った形へと、庭を再生するリフォーム。

M様邸の芝生の庭は、
これからも新しい思い出を重ねていく場所になることでしょう。

私たちのリフォームへの想い

住まいのリフォームには、
数字や工事内容だけでは語れない「物語」があります。
その想いを大切にしながら、最適なご提案をしていきたいと私たちは考えています。

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